戸惑ったが、カイの方にゆっくり近づいて行く。


-グイッ

ちょうど前まで来たとき、カイに手首を引っ張られた。


いきなり引っ張るから、案の定バランスを崩し、


カイの膝の上に乗る形になってしまった。


「…っ」

握られている手首が痛い。


久々に思い出す、男の手、力強さ。


記憶から消したはずだったあの日の事が

今、再び蘇る。