「へえ、まだやってるんだ。

中じぃって、結構年齢とってたわよね?」

私は言った。

“中じぃ”とは、『中川医院』の院長である中川先生のことだ。

かなりのおじいさんのため、この横町に住んでいる人たちは彼のことを“中じぃ”と呼んでいる。

「中じぃも元気だよねー。

まあ、元気でいることが何よりだけど。

そう言えば麻子ちゃんがここにくるのって珍しいね。

何かあったの?」

美森ちゃんが聞いてきた。

「夜中からお腹が痛いから胃薬をもらえないかなって思って」

そう答えた私に、
「えっ、大丈夫?」

美森ちゃんが驚いたと言うように聞いてきた。