「あの……私何も喋って……」


「《残留思念》って知ってるか?」


「?」


「人、動物、建物、水、その他もろもろの物質。すべての物には一定時間前の《思念》……つまり記憶が残るんだ」



自分でも意外なほど超常現象は信じる方だ。


ユーレイはいると思う。


だからあんな小さな記事が気になってしょうがなかったんだろうな。



私は特に驚くわけでもなく「じゃあ私の記憶を?」と聞いてみた。


六はしかめっ面をさらにしかめながら言う。


「正確にはあんたのピチピチの《肌の》残留思念だがな」


「……」


きしょい。


言わなけりゃいいのに……。


でも、そんな事に私は負けない!だってポジティブだもん!って思ってみた。


「驚かないあたり、あんたなかなか苦労してんなぁ」


なんか変に同情を誘ってしまったらしい。


いやーそれほどでも。





「本題に戻るが、あんたが探してほしいのは『3日前にいなくなった“雄”の三毛猫』だな?」


雄の三毛猫が産まれる確率は、宝くじに当たるより低いらしい。


つまり世界的に超がつく希少種ってことになる。


名前は『タマ』


……どうせベタですよーだ。