みきりさんは神妙な面もちで話し始めた。


「まず私があなた達を狙撃してって頼んだのは、あなたの記憶を取り戻すため……なんだなこれが♪」


10秒と持たない神妙さなんてあるのだろうか?


「ショック療法つってな、ガーン!ショック!オーノー!って状態だと忘れたこと思い出しやすいらしいんよ。だから撃ちました。ユーノーウ?」


アーイノーウ……とは言わないことにする。

そもそもショック療法ってそんな凄まじいものですか!?





「雄の三毛猫……たまっていったっけ?をちょこっとちょろまかしたのも私。覚えて無いだろうけど、ココの依頼受付広告をあなたに見せたのも私なのよん」


とんと記憶にございませぬなぁ……。

まあ記憶なんて今の私にあってないものなんだけど。

でも、待ってよ……?


「それで、あのポムポムクローズ(完っ璧にふざけきった!)に依頼を持ち込むように吹き込んだって訳。アイノーウ?」


「自分に聞いて下さい……。それよりちょっと気になったんですが」

「ん?『ポムポムクローズ』?」

「違います」

「いいネーミングセンスだと思うんだけどな?」


気にならなくもないんだけど。


「いくら私の過去の記憶が誰かに《ツクラレ》たものだとしても、みきりさんと初めて会った日……」

「昨日だよ」


合いの手を入れてくれた。


「……昨日みきりさんに会った記憶すら無いのはなぜなんですか?」


みきりさんは来客用テーブルからズイッと身を乗り出しながら私に詰め寄る。


たわわな胸元が目の前で揺れる。


「合格点!いいところに気がつく。うん、六より探偵らしいわ。偉い偉い♪それはみっちゃんの記憶喪失は《進行形》だからよ」


……はい?


「《進行形》?」