仮眠室のような一角。

インSmile!探偵事務所。


「落ち着いたか?」


六の出してくれたホットココアが体を温めてくれる。


ぶっちゃけ六が好きになった。


そっとしておいて欲しいときはそっとしておいてくれる。

タイミングを見計らったようにホットなココアと毛布も出してくれた。


何だかんだいって気遣ってくれてる。


仏頂面の裏側は、実は優しい探偵のようだ。


外はもう暗くなり始め、どうやら雨も降り出したようだが、私に帰らなければならないような場所は……無い。


1時間。

さすがにもう、状況は呑み込んだ。


(まだ受け入れたくないんだけどね……)


そう思いつつも六に苦笑いを見せながら「大丈夫」と頷く。


「2点」


「?」


「今のあんたのSmileだよ。まあ泣きはらしたそんな顔じゃしょうがないか」


私が慌てて顔を隠す前に、六はぷいっと歩いていってしまった。


「皮肉屋め」


私はそう呟くと立ち上がり、六を追いかけた。


もう涙は枯れた。


あとは、知ること。