私が壊した(ような気がしないでもなくもない)ドアは、まだそのままのようだった。


うう……弁償かなぁ。


階段を登りつつチラッと六の方を見ると


「なんで赤く―――」


理解した。

今日の私は《ミニ》だった。


クルリとUターンすると、階段に足を半歩踏み入れたばかりの六にズイッと詰め寄る。


六はあのしかめっ面のまま顔を赤くして横の壁のシミを数えていた。


「見た!?」

「……青のチェック」


ニコッ。

素直すぎ。

パチーン。


ホムンクルスが美少女のパンツごときで動揺してどーする。


(でも、ちょっと可愛かった♪)


ちょっと気持ちも軽くなった。


最後の二段は飛ばして駆け上がった。



事務所内に《たま》がいた。