六が言うに

「ホムンクルスってのはだな、あーだこーだあって流産になった子供を再び生き返らせる……と、そんな事ばっかりを研究してるアブナイ日本人学者集団の研究成果の一つだ」

ってことらしい。


「ついでに昔々の東洋の呪術やら西洋の黒魔術やらも色々試して生き返ったのが俺らしく、生き返って成長までしたのはいいが、今度は死ななくなっちまった」


そう言ってまるで他人ごとのように笑う六。


「傷ができてもすぐに塞がるし、病気にもかからない。おまけに肉体年齢は22で停止しちまった。……ははっ、俺は死ねないらしい」


笑みの裏には私には想像もつかない闇が、漆黒がある。そう、思った。


もしかしたら六の眉間のシワは、残ることのない傷痕をカラダが叫んでるのかな……。


「焼けた鉄を押し付けられたり息絶えるまで水に顔を突っ込まれたりもされたんだぜ?それがこのJapanの中でっていうんだ、もう笑っちまうよな?」


笑えねー。


ん?じゃあ


「じゃあ首吊りにして、バラバラにして、ガソリンかけて燃やしても生きてる?」

「怖えーよ!」


なんて。


ここまでがSmile!探偵事務所に帰るまでの雑談。



みきりさんに半ば強引に途中で下ろされ(絶対人混みを通って事務所に戻るように『命令』された)、そこから仏頂面の六とトコトコ歩いて来たんだけど……。


結局三毛猫の話も命を狙って来た奴らの事も、私の記憶の事も―――


「ねぇ、何で依頼の事とか記憶がどうとかは話してくれないの?」


実は一番最後の事が一番気になってたりするんですが……。


「いや、だって聞いてこないだろ、あんた」


「とぅ!」

「おわっ!?」


とりあえず歩く六目掛けローキック一閃での膝かっくん。


際どいところで持ちこたえた六が睨みつけてくる。


「俺を殺す気か!!」


「死なないんでしょ!?」


気がつくと、もう事務所前だった。