「ホムンクルスって……」


「簡単に言うなれば《人造人間》ってとこだな。この体、ベースはヒトだが呪いや魔術・機械なんかも混じってやがる。だからそう簡単には死なねぇよ」


そう言ってポンと私の頭に手を置く。


そんな……突然……信じられるかー!


「ほ、ホムンクルスなんて物語の作り話ですっ!」


「じゃあ俺はどーなんだよ?傷口塞がったぜ?」


「それは……み、みきりさーん」


ヘルプ!冗談って言って下さい!


「あたしはホムンクルスってことはとっくに知ってる。六とは……まあ、腐れ縁みたいなものだし」


「俺は関わりたくは無いんだがな……」


「あ!?誰のおかげで依頼人が助かったと思ってんだ?あたしのおかげだぞ?あ・た・し・の。それにそのあんたの血が染み込んだ座席、きっちり請求書送っちゃうからね〜」


「……」


自称ホムンクルスの六を言いくるめるなんて、もしかするとみきりさんの方が化け物じゃ……。


まあ私はポジティブ人間。

六は置いといて、とりあえずみきりさんの機嫌だけは損ねない事にした。


「みきりさん。さっきは危ない所をありがとうございました」


「ハハッ!いーっていーって。《みっきーが助かってよかった代金》も、ちゃーんと後で六に請求しとくから」


「ぐっ……!」


しっかりお金取るんだ……。


それに、いつの間にか『みっきー』になってるし。


「元はと言えばお前が《ギルド》絡みだって言わないからだろーが!」


「言い忘れてたんだもーん。戻ってみたら、既にスナイパーに狙われてるしぃ〜」


「気持ち悪いから、そのぶりっこは止めろ!」


っていう押し問答が続けられている間も、なぜか六の左腕は私の頭の上に乗せられたままだった。


「あの〜……」


六は唐突に手を離すと、私に渋い顔で問いかけた。


「あ、そうだあんた、3日から前の記憶無いだろ?」



え―――