「…あっ!晃、これ」
「…ん?」
あたしはお母さんに頼まれていたお弁当を渡した。
話し込んじゃって、渡すのすっかり忘れてた!
「お母さんが晃にって」
「…悪ぃな。サンキュ」
晃はお弁当を受け取ってすごく嬉しそう。
…良かった。
「…結奈、お前も…」
「結奈ー!」
「きゃっ!」
晃が何か言いかけた瞬間、誰かがあたしに勢いよく抱きついてきた。
「また同クラとか嬉しい〜!」
「…真尋!」
柊 真尋。
高1の時に仲良くなった親友。
明るくて、元気で小柄な女の子。
頼りになる存在。
「お願い!結奈について来て欲しいところがあるんだけど…」
「なに?」
真尋がお願い事してくるなんて珍しいな。
何かあったのかな…?
「ごめんね、2人とも!結奈借りるわ!」
「…えっ!?」
「おい!てめぇ勝手に!!」
あたしは真尋に腕を引っ張られ、廊下に出る。
…真尋、どうしたんだろう?