「お腹すいた……お父さん…お母さん……どこにいるの?……本当に死んじゃったの?」

17歳のシェリーは焼け野原となった街を彷徨う

どこを探しても父や母は見つからず、食べ物も食べられていない。


もう5日も探し歩いていたがとうとう力尽きた

「もう……死のうかな……家族も友達もみんな焼けちゃったみたい……餓死なんてやだな……」

近くには兵士が落としていった刀が落ちていた。

「これを使って……」

震える手で刀を掴み首の血管を切ろうとする
この世に未練はないはずだが手がガタガタと震えてなかなか動けない。

「お父さん…お母さん……待ってて、今行くから……」
強く刀を握り首に当てようとした瞬間

「何をしている」

男の声が聞こえた。

「離して!!やっと、やっと決心できたんだから!!」

「なぜ死のうとする」

「もうみんな先の戦で死んじゃって、家も焼けちゃったし、お腹も空いたし……もう生きていたくないの!!」

「これを食べろ」
男は高級そうなパンを差し出した

「これは?」
「パンだが」
「なんで私にくれるの?」
「お前、まだ死にたくなさそうに見えるから。ほら、さっきから刀を離してるのに自分の事切らないしね。みんなを生き返らせるのは無理だが、腹くらいは満たせるぞ、食べろ」
「………し、死ぬ前に食べるだけだから」

パンを受け取り食べる
三日ぶりの食べ物
三日前は半壊の家の中から漁って見つけた焦げたパンだった

「美味しい……」
「そうだろ、もっと食べろ」
黙々とパンを食べると少しづつ腹が満たされ、いろいろなことを考える余裕が出てきた。
死んだ家族や友達の事
ボロボロになってさまよう私を乞食みたいだとあざ笑う軍人や金持ち
街は焼けたけど、交通の要所だったからたくさんの人が通っていった。
そんな中でボロボロの姿でさまよう私は浮いていただろう。
この街で戦に巻き込まれた人はほとんど死んでしまって、今も埋もれているから…

思い出すと気づかないうちに涙が出てきていた

「あれっ…えっ……」
ぽろぽろと目から溢れ、私はいきなりのことに動揺した。

「思う存分泣くが良い。」
男は綺麗なハンカチを貸してくれた。
涙をぬぐいしばらくしたら落ち着いた。

「私…これからどうすればいいんだろう……」

「……城に来るか?」

「えっ?」
「働き口がないのなら俺の城で働かないか?」
「え、城??」
「付いて来い」

男は私の腕を引き森の近くに止めてあった馬に乗せて走った。

私は不安だがすることもなかったので抵抗せずについていった。