やっと国境での戦が終わった。


たくさんの血が流れ凄惨な光景が広がっていた


「やっと終わったか、引き上げるぞ」

王はそう言うと兵を引き連れ城へ戻った


「王様、敵の死体はどういたしますか?」
家来は恐る恐る王に聞いた

「いつものようにやれ」
王は冷たく言い放ち帰っていった


次の日、国境には地獄が広がっていた

「……死体のなる木………」

木の近くに群がる民衆は震えながらそう言う

国境の森の敵の領地の木に自体をたくさん吊るし見せしめに晒す

敵の重臣や下級兵と身分を問わず吊るす


「罰当たりな……なぜこんな残酷なことを」
「戦が終わったなら、土に埋めて葬れば良いのに」

みんなそう思うが王は決して見せしめをやめない
人々は口々に王を残酷だと罵る


王の考えを考えずに




「王様、おかえりなさいませ。」
髪の長い上品で若い女が城で王を迎えた

「シェリー…ただいま」

王の無表情は崩れ、悲しそうな表情になる

「今日も……なされたのですか?」

「あぁ、何度しても心が痛む」

「王様が見せしめを始めてから確かに戦や侵略は減りました……ですが……王様があまりにも辛そうで……」
シェリーは涙ぐみながら王を抱きしめた

「私の事はいい……戦が終われば恨みも無くなる、だが生易しく供養などをして甘い顔を見せれば敵国がつけ上がりまたたくさん戦が起こる……そうすれば民がまた苦しむ」

「王様の考えは理解できません……民は…民は王様を恐れ、残酷だと罵り……おお様の御心を察しようともしません……」

「それが王というものだ。何も好かれるだけが王ではない…為政者たる者、民に嫌われようとも民の幸せを願うことが大切だ。……すまないシェリー、情けない姿ばかり見せてしまって」

「良いんです、私にはどんどん甘えてください、私には王様しか見えません、私は王様が少しでも楽になってくれれば本望です」

「シェリー……」




設定

王様:残酷だが心優しい王、国を平和に豊かにしたい一心で動くも見せしめなどの無慈悲さから人々から恐れられている。
ドSだが弱るととことん弱い。
独占欲が強く、心配性で邸宅のシェリーの部屋には人を近づけないようにしている。

シェリー:王様が唯一心を許す妻、冷徹な王の事を愛する唯一の人。
元は戦争孤児で悲しみと孤独のあまり自害しようとしていたところを王に救われ恋に落ちた。
人があまり好きではなく王にしか心を開かず、とても嫉妬深い女の子。民とかどうでもいいから王様だけでも幸せになって欲しいと考えているし、こんなにも苦しみながらも頑張って民のことを考え政治をする王を恐れ罵る民が嫌い。