難無く病院を出たつぼみは少しスピードをあげた。


私が『早くっ』と急かしたからだ。



「もうすぐよ。」


その言葉と共に漂ってきた塩のような不思議な香り。


これが昔ママが話してた『海の匂い』なんだろう。


病院から20分くらいで着いたのは誰1人いない綺麗な海だった。



「想像通り?」


「想像通りっ」


私は綺麗な海をしばらく眺めていた。


けど…物足りなくなってきた。


だってね?



「遠い−っ」