大体二人の会話を聞いて分ったことがある。
樹斗はどうや女遊びがひどいらしい。
顔は可愛いのに。
樹「あ!今茜音、俺の事可愛いって思ったでしょ!」
いきなり圭哉との口論をやめてこっちを向いたからびっくりした。
あんなうるさい口論の途中だったのによく分かったね。
樹「あったりまえ!女の子の感情をしっかり読み取るのは普通だよ?」
ん?なんで思ってること分かって…。
圭「声に出てる。」
やばい。
今度から気をつけよう。
ところで、
…。ここにでも女遊びとそうでない人の区別がつくんだね。
ここ、というのは態度だ。
自信満々に言った樹斗に対して、圭哉は呆れた顔をしていた。
その顔からは呆れる以前に冷めた視線を送っていた。
一瞬で病室の中がシケたのは説明するまでもない。
圭「樹斗はいつもこうなんだよな。何かと言えば今みたいにシケる。ま、こんな奴だけど、よろしくな。」
『う、うん。』
この後私たちは他愛のない会話をして、私の検査まで一緒にいてくれた。
会話の中で知ったことは、樹斗はサッカー部で、キャプテンなんだとか。
圭哉には姉がいるとか。
あまり人と関わらない私にとってはすごく新鮮な時間だった。
それに、圭哉は最後まで残ってくれて、私と一緒にいた。
その時に、お前と一緒にいた樹斗はすごく楽しそうだった、そうだ。
圭哉以外の人との関わりは無理かなって思ったけど、意外と行けそう。
これも圭哉のおかげだね。
今度は圭哉のお姉さんに会ってみたいなぁ…。
会えたらいいけど…。
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私に友達が増えたのも君のおかげ。
本当にありがとう。
あれから一週間がたった。
今は7月。
余命を聞いたのは、6月27日だったはずだから。
私の余命、残り2ヶ月と3週間
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ガラッ
樹「茜音ちゃん〜。」
『樹斗。あれ?圭哉は?』
樹「あー。アイツね。置いてきちゃったんだ☆」
『え?いいの?』
樹「俺の走りに追いつけなかったからしょうがないよ。」
樹斗はここまで走ってきたみたい。
もちろん一緒にいた圭哉も巻き添えをくらって。
しまいにはほっていかれたと。
圭哉も大変だね。
サッカー部のキャプテンの樹斗のスピードに合わせないとダメだから。
樹斗が来てから1週間。
こうして毎日圭哉と一緒に来てくれる。
ま、今日みたいに樹斗に置いていかれることもしばしばw
樹「にしても、アイツ遅くない?」
確かに。何をしているんだろう?
すると、ドアの向こう側から声が聞こえた。
樹斗はドアをあけて外を覗いた、と思ったら真っ青な顔でドアを閉めた。
その後、何もなかったかのようにニコって笑った。
『明らかに不自然過ぎるよ?』
樹「え、そ、そんなことないよ?」
おかしい。不自然過ぎる。
誰かいたのかな?
ガラッ
気になったからベットから出てドアを開けた。
途中、ベットから勝手に出ていいの?って聞くもんだから、ずっとベットの上じゃ、体が鈍ってくるよ。と答えた。
?「あんたさ、いい加減彼女作ってよ!」
圭「はぁ?!絶対無理!」
?「何?好きな人でもいる訳?」
ドアの外では圭哉と綺麗なお姉さんが口論をしていた。
彼女かな?って思ったけど何故かその会話が彼女を作れ、だったから彼女では、ない。
『圭哉?どうしたの?』
圭「茜音?!いいのか?勝手にベッドから出て。」
『それ、樹斗も言ってた。流石にずっとベットの上じゃあ、体が鈍ってくるよ。しかも、私は発作が出ない限り自由にしてていいもん。』
なんなのかなぁ。
みんなして。
私を何と思ってるの。
そう言えば樹斗が私の余命を知ったとき、泣きそうな顔してたね。
まだ死なないのに。
?「圭哉?誰なの?その子。」
さっきまで圭哉のそばにいた綺麗なお姉さんが圭哉の服を引っ張ってた。
そして、私の顔をじーっと見ると、固まった。
私も、お姉さんの顔を見て、固まってしまった。
何故なら、見覚えがあったからだ。
圭「あんたら、大丈夫か?」
圭哉が声をかけると、固まってしまった私達はハッと我に返った。
綺麗なお姉さんは私の肩をガシッと掴んで、
?「あーちゃん?!」
と、目を輝かせて言った。
私のことあーちゃんって言うのは2人しかいない。
もう片方は男の子だったから、もしかして…
『ま、まーちゃん…?』
合ってるかどうか分からないから疑問形になってしまった。
向こうはそこまで気にしてない様で、まーちゃんって言っただけなのに嬉しそうに顔をほころばせた。
舞「久しぶりだね!元気にしてた?」
この質問は返事に迷ってしまった。
元気じゃないって言えば心配かけちゃうし、元気って言えば嘘になるから…。
それを見兼ねた圭哉が口を挟んだ。
圭「姉ちゃんと茜音って知り合いなのか?」
『うん。知り合い。というか、私の数少ない友達。』
圭「へ〜。あ、あまり廊下で話すのはよくないと思う。」
そう言ってわたし達を私の病室の中に押し込んだ。
病室にはオロオロと落ち着きがなくウロウロしている樹斗がいた。
私と圭哉は疑問に思いながら見ていた。
まーちゃんはというと、
舞「キャー!樹斗君久しぶりー!」
そう言って
ギュッ
思いっきり抱きついた。
私は、え?って固まってしまったのに対し、圭哉は呆れたような顔で見ていた。
圭「はぁー。またか。」
『え?どういうこと?』
圭「これ、いつもの光景なんだ。」
『え!いつもなの?!』
圭「しかも、この後がうるさい。ほら。見てみろ。」
圭哉に促されて見るとまーちゃんの腕から逃れようと必死にもがいている樹斗がいた。
それに、2人で何かを言い合っていた。