樹「あれ?シケちゃった?」
『あぁ。』
樹「あ!そうだ!ちょっと屋上来て!話したいことがあるから。」
俺の腕を引っ張って、すごい勢いで走った。
コイツ、サッカー部だから、速いんだよな。
しかも、キャプテンだし。その証拠に俺の息が上がってる。
コイツ、平気そうだけどな。
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in屋上
樹「あれ?もう息上がっちゃった?」
『ハァ…ハァ。ふざ…けんな…。お前が速すぎんだろうが。』
樹「圭哉も体力つけないと。」
チッ
運動部でもないのに体力つける意味ないだろうが!
はぁ。もういいか。
そう言えば話があるとかでここに連れてこられたな。
『で?』
樹「は?何が?」
『なんの話かあんだ?』
樹「あぁ!大した話じゃないけどな。」
大したことないのなら帰ってもいいか?
樹「あ、帰っちゃダメ。えっと、その、茜音ちゃんだっけ?」
『茜音?どうしたんだ?』
樹「今度会ってみたいんだけど?」
え、コイツがか?
実は、コイツはかなりひどい遊び人だ。
可愛い顔してるくせにやることは大人ってことか。
『悪いけど、もう少し経たないと無理なんだ。』
樹「圭哉〜。お願い!」
『無理だって…。』
樹「でも、茜音ちゃん、友達圭哉しかいないんでしょ?なら、友達は多い方がいいじゃん」
う、コイツには一理ある。
どんだけ気になってんだよ。
茜音の事。
しょうがないか。
『分かった。今日行って聞いてみる。』
樹「本当?!ありがとう!」
『一応、言っておく。茜音に手を出すなよ。』
そう言えば、樹斗はニッコニコの笑顔で、「うん!」と、答えた。
やっぱり心配だ。
この後、ちゃんと授業を受けた。先生、ビックリしてたなw
圭哉side end
『ん…。』
あ、今日って…。圭哉の友達が来る日だ。
ガラッ
圭「おはよう。」
『えっ?!圭哉?!』
見れば、圭哉だった。
今日は土曜日だから圭哉も朝から茜音の病室に来たらしい。
『早いね…。』
圭「まあな。今日は俺の友達が来る日だって言っただろ?多分もう少ししたら来る筈なんだけどな。病室の番号言ってあるし…。」
緊張してきた…。圭哉の友達…なんだよね?どんな人なんだろう?
圭「何?緊張してる?大丈夫。なんせ俺の親友だから。」
『う、うん。』
そう…だよね。うん。圭哉の友達だもんね。
うわー。
でも、圭哉以外の人と関わるの久しぶりだなぁ。
複雑な感情で待っていると、
ガラッ
いきなりドアが開く音がした。
大きな音だったからびっくりして肩が上がった。
ドアの方へ目を向けると、いかにも爽やかって感じの男の子が立っていた。
誰?と疑問に思っていると、圭哉は爽やか少年の所へ行き、遅いぞ。と言った。
話している様子からすると、多分、爽やか少年が圭哉の親友だろう。
爽やか少年は私に気づいたのか、圭哉に可愛いいじゃん。
と言ってこっちの方へ歩いてきた。
私の目の前に来るとニコッと笑ってよろしくと言った。
まさか話しかけてくるとは思わなかった私は、
『よ…、よろ…し…く。』
と、どこかたどたどしい返事になってしまった。
それを見かねた圭哉はコツンと爽やか少年の頭を小突いて、茜音が困ってるだろ。と、呆れた様な声で言った。
圭「ごめんな。コイツがいきなりで戸惑ったんだろ?」
『う、うん。』
な、なんで分かったんだろ?
あ、当たり前だね。
いきなり話しかけてきて戸惑わない人なんていないもん。
樹「いやぁ。ごめんね?いきなり話しかけちゃって。俺は吉田樹斗。覚えていて?よろしくー。」
『あ、えと、私の名前は仲東茜音。よろしく…。』
やっぱ緊張する〜!
なんて話したらいいか分からなくなったのと、緊張でつい、俯いちゃった。
でも、特に気にしている様子はなく、
樹「緊張しているのかな?早く仲良くなれたいいいね!」
と、だけ言って頭をポンポンとした。
そんなことされたのは初めてで自分でも固まったっていうのが分かるくらい困惑した。
圭「おい、樹斗。必要以上に茜音に触るな。」
樹「あははー。もう、圭哉はー。茜音ちゃんの彼氏じゃないのにさ。」
圭「うるっせぇ。つか、なんで遅かったんだよ。」
樹「いや、圭哉置いていったんじゃんか!」
圭「お前がナンパばっかしてるからだろうが。いい加減やめろよ?少しは本気になる相手探せよ。」
樹「えー。だって。本気とかめんどくさいじゃん?」
圭「それ、お前の意見だろうが。お前は顔はいいんだからさ。後は変な女癖やめろたら完璧なのにさ。」
樹「そうゆう圭哉だって。好きな人いないじゃん?お互い様だよ!」
大体二人の会話を聞いて分ったことがある。
樹斗はどうや女遊びがひどいらしい。
顔は可愛いのに。
樹「あ!今茜音、俺の事可愛いって思ったでしょ!」
いきなり圭哉との口論をやめてこっちを向いたからびっくりした。
あんなうるさい口論の途中だったのによく分かったね。
樹「あったりまえ!女の子の感情をしっかり読み取るのは普通だよ?」
ん?なんで思ってること分かって…。
圭「声に出てる。」
やばい。
今度から気をつけよう。
ところで、
…。ここにでも女遊びとそうでない人の区別がつくんだね。
ここ、というのは態度だ。
自信満々に言った樹斗に対して、圭哉は呆れた顔をしていた。
その顔からは呆れる以前に冷めた視線を送っていた。