キセキ〜君に出会えた3ヶ月〜

今はもう、遊ぶこともないのか…。




いや、この歳になっても公園で遊ぶ方がおかしいか。




たとえ、公園で遊ばなくても私が外へ出ることはもうないのかな。




もしかすると、一回ぐらいは外へ出れるかもなんて無理な話だよね。




ただでさえ残り3ヶ月なのに、外に出ればこれ以上寿命を縮めるだけじゃん。




あ、なんか悲しくなってきた。




ポロッ




え?泣いてる?




布団に雫が落ちていた。私の目からも落ちてきて。




あー。バカ私。何泣いてんの。



涙なんかあの日から出さないようにしていたのに。




それに、圭哉も心配しちゃうじゃん。



『ぐすっ…。お願い…。止まって…。私には…涙なんて…必要な…い…。』




ガラッ




あぁ。もう。圭哉が帰ってきたじゃん。




慌てて涙を拭く。




圭「え?茜音?どうした?大丈夫か?」




やっぱり、見られてたんだ。




でも、本当の事をいう訳にもいかないから。




ごめんね。




『ううん。何もない。心配してくれてありがとう。』




圭「そうか。何かあったら言えよ?」




『うん。』




圭「俺ら友達なんだから。」




チクッ




え?なんで友達ってだけで傷つくの?
友達って言ったの自分じゃん。




そのあと、私を心配してくれて、色々喋ってくれたけど、私には一言も耳に入ってこなかった。




その代わりに頭に残ってたのは"友達"の二文字だけだった




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圭哉side




あの日、俺は友達が骨折したと聞いて見舞いに来てた。




友達は何もなくて、眠いと言われて追い出されたw




なんとなく屋上で風に当たりたい気分だったから屋上への階段を登っていった。




この時に俺が屋上に行ってなければ、茜音はきっと自殺していたんだろう。




ガチャ




サァッ




『風が気持ちいいな。』




辺りを見回すと、フェンスに手を掛けて乗り越えようとしている一人の女の子がいた。



その時の茜音のあの顔は忘れられない。



もう、何もかもが終わってしまったような顔。




光を映さない死んだような顔。




その顔を見た瞬間、俺はあいつが何をしようとしているか悟った。




考えるよりも早く体が動いてあいつの手を掴んでいた。




『おまっ…。何してんだよ!』




するとあいつは振り向いて、誰?って顔をした。



でも、やっぱり顔は死んでた。




俺は直感的にコイツの力になりたい。そう思った。




誰?って聞いてくるから、つい糸部圭哉と名乗ってしまった。




自己紹介?が終わり、なぜフェンスに手を掛けていたのかを聞いた。



すると返ってきた答えは




茜「なんで会ったばっかの人に言わなきゃいけないのよ。」




嘘だろ?マジで、自殺しようとしたのかよ。




でも、本当の所は分からない。




だから、試しで聞いてみたんだ。




『茜音…。お前まさか自殺とか考えてねぇよな?』




賭けだった。でも、やっぱり




茜「っ…。そうよ。それが何?」




なんで自殺なんか考えんだよ?!死んだら何もかもが終わりじゃねーか!




『何死のうとしてんだよ!』




茜「うるっさいなぁ!私が死にたかったから死のうとしたんじゃん!」



っ!コイツは何を抱えているんだ?




ここまでコイツを追い詰めるくらいの出来事が。




『何があったのかは知らねぇ。でもな、この世は親に顔も見せずに死んじゃう奴もいるんだ。病気とかどうでもいい。何があっても"今"を生きろ。』




茜音がどう思ったかは分からない。



でも、何故か、この言葉が俺の口から出たんだ。




『じゃあ、聞いて?』




やっと話してくれた。




全てを聞いとき、茜音を守ると決めた。




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全て話終えたとき、俺はもちろん同情もあったけど、何より、俺を頼って欲しいと言う気持ちだった。




俺は一体どうしたんだ?




にしても、余命3ヶ月とは…。




そりゃあ、自殺したくなるな。




気付けば、




『あぁ。理由さえあれば生きることが出来ると考えたんじゃないのか?』




なんてことを、言っていた。




自分でも無意識だった。




本能で励ましたいと思ったのかもしれない。




それだけじゃなくて、




『お前が理由を探しているなら、俺がお前の理由になる。』




俺がなんでそんなことを言ったのか、自分でも分からない。




でも、言ってよかったとは思ってる。




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次の日、俺は珍しく学校に行った。




ま、理由は茜音を心配させたくないからってだけだけどな。


学校行かずに茜音んとこに行けば、絶対茜音は心配する。




だから、先生がいても頑張ってやる。




ガラッ




友「うお?!圭哉じゃん?!どうした?!」




俺がいつも学校に行ってないせいか、教室に入ればみんなが寄ってくる。




学校に来たとしても俺はずっとサボってっけどな。




圭「…はよ。今日から一応授業に出ようと思ってさ。」




友「でも、圭哉は頭いいから授業に出る必要ないよな?」



嫌味かもしないが、俺は授業に出なくても教科書見れば基本のことは分かるからな。




テストも上位。




『色々あって…。さ。』




?「おはよー!圭哉、やっぱり来たんだ?」




『…樹斗。』




コイツは俺の親友。





吉田樹斗(よしだ きと)。




コイツには昨日の出来事を話してある。




流石に、余命は言えなかったけどな。




友「樹斗ー。やっぱりってどういうことだよ?」




樹「それは教えらんねーな!俺らだけの男の秘密ってやつなんだよ!」




シーンッ




樹斗にはよくある。カッコ良く見せようとしてその場がシケるのは。




つか、なんだよ。男の秘密って。