母「どう?調子は。」




『うん。今日はいいよ。』




なんて嘘。今日は気分が悪い。
それになんか嫌な予感がする。




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医「誠に残念ですが、茜音さんの余命は3ヶ月です。」




母「そん…な…。嘘ですよね?」




医「いえ…。本当の事です。」




母「あなたは医者ですよね?人を治すのが医者じゃないんですか!?」




医「治したいのは山々ですが、治療法がないのに治すことは不可能です。」




母「うっ…。せめて…、延命だけでもっ…。」




医「分かりました。限界まで頑張ります。」




やっぱり。嫌な予感ってこれのことだったんだ。




私は仲東茜音(なかひがし あかね)




生まれつき体か弱くて、小さい頃は病院に通っていた。




まだその頃はここまでひどくなくて、少しなら外で遊んでも大丈夫だった。




そんな生活が変わったのが半年前。




いつもの通り学校への道を歩いていると急に目眩がして私は倒れた。




その日からは通っていた高校も退学して、学校に行かず、外でも遊ばず、こうしてベットに横たわってるだけの生活になった。




なにか嫌な予感がしたからお母さんの後を追ってみたら、自分の余命を聞いちゃったってわけ。




『3ヶ月なんて…。死ぬのと一緒じゃん…。うぅっ…。』





のろのろと自分の病室まで歩いていく。





自分のベットまで行くとベットの上に座り込んで泣いた。




周りに聞こえないように声を押し殺して。




『ほんっ…とうは…。普通に過ごしたかった…。友達と…遊んで、話し…て、学校にも…行って。彼氏も作っ…て。』




これが今まで私が願ってきた願い。





でも、全てが叶うわけじゃなかった。叶ったとしても短い時間。





『私には…。生きるか価値がないのかな?…クスッ。じゃあ、もう死んでいいよね?』





屋上まで歩いていった。そして私はフェンスに手を掛けて越えようとしたんだ。
でもーーー





ガシッ




?「おまっ…。何してんだよ!」




誰だかわからない人が私の腕を掴んでいた。



…マジで誰?




『誰ですか?』




圭「俺は糸部 圭哉(いとべ けいや)だ。お前は?」




『私は仲東茜音。』




圭「へー。茜音か。って!自己紹介じゃなくて!」




プッ。




何この人。面白い。




圭「お前はなんでフェンスの向こうに行こうとしたんだ?フェンス越えたらあぶねーってことは分かんだろ?!」




そう。フェンスを越えたら足場はほとんどない。だから私の自殺場所に選んだ。




『なんで会ったばっかりの人に言わなきゃいけないのよ。』




すると圭哉は目を見開いた。その顔はなにか感づいた顔だった。




圭「茜音…。お前まさか自殺とか考えてねぇよな?」




『っ…。そうよ。それが何?』




圭「何死のうとしてんだよ!」




『うるっさいなぁ!私が死にたかったから死のうとしたんじゃん!』




圭「何があったんだ?」




『もうっ…。本当になんなのよ。』




ねぇ、お願いだからこれ以上私に優しくしないで。決意が水の泡よ。




圭「何があったのかは知らねぇ。でもな、この世は親に顔も見せずに死んじゃう奴もいるんだ。病気とかどうでもいい。何があっても"今"を生きろ。」



『"今"?』




圭「あぁ。」




圭哉の言葉にすごく泣きそうになった。




今では私は自殺なんてこれっぽっちも考えていなかった。




『じゃあ、聞いて?』




圭「なんでもこい!俺が全部解決してやる。ただし。」




『?何?』




圭「もう自殺なんて考えるな。」




『あったり前。もう自殺なんて考えてないよ。 』




圭「よしっ!話せ!」




『うん。』




私達は屋上にあるベンチに腰掛けた。