彼の言葉は永田芽衣という少女を知るからこそ、出てくる言葉だろう。

「誰がやっているか分かりませんか? 私と同じ学校の人が犯人だと思います」

「芽衣の友人っていっても、二学期になって疎遠になった子くらいしか。その子たちなわけはないし、他に芽衣が言っていたのは」

 そこで彼が口を噤む。

「芽衣の話に良く出ていたんだ。普段は話をしないけど、よくメールで話をする子がいるってさ。同じ学校の子」

 だが、彼はそこで言葉を切った。

「誰ですか?」

「いや、悪い。忘れてくれ」

「お願いします。教えてください。だって、芽衣のためにしたことでその人が傷つくなんて悲しすぎる。今、私のクラスではクラスメイトに復讐している子を探そうと息巻いていて、クラスメイトに見つかればその子がいじめられるかもしれない」

 松下は目を見開き、私から目を逸らす。

「その当人以外には絶対に言わないから教えてください。その子の気持ちがわかるからこそ、その子を止めたい。芽衣のいじめをとめらなかった私に唯一できることだと思います」