「こんなバカばかりのところ二度と通えないわ」

 明香はそう言うと鞄を持って出て行ってしまった。

「訴えるってマジかよ」

「虚勢張っているだけじゃないの? でも、これで学校に来なくなればそれでいいよ。もう」

「そうだな」

 クラスメイトの多数がその意見に賛成のようで、それ以上は返事が返ってこなかった。

 次の日、明香は学校に来なかった。由紀だけは唯一学校に通っているが、誰も彼女に関わろうとせずクラスの中で孤立していた。

 間接的ないじめをしているかもしれないと分かっていても、直接的に誰も何も言わなかったのは、明香の言葉が有効だったのか、彼女たちと同じになりたくなかったのかは定かではない。

 私はあの写真にその写真を置いた犯人の指紋が残っていない事を祈っていた。一般人が指紋の検査ができるのかは分からないが、極力その相手を追い込むような状況にはなってほしくなかったのだ。