伊田君は近くの席の男子に事情を話すと、こちらをにらんでいる明香のところまで歩いていこうとした。

 私は彼らを呼び止める。

「もうこんな話やめよう」

「というか、古賀のこと庇っているの? あんな奴庇う必要なくね」

 佐田先生の言葉が頭の中で回る。きっとこうした写真も、明香がクラスメイトを訴えると言っていた要件になるのだ。

 私が止めるのも聞かずに、明香のところに行く。
 その一団に岡部君が寄っていき、止めてくれるのを期待したが、彼も加わってしまった。

 明香は写真とともに質問を突き付けられたためか、それをひったくると、丸め、ポケットの中に強引に突っ込んだ。

「誰よ。こんなものをこそこそと。分かっていると思うけど、これ以上やるなら訴えるわよ」

「は? 何言ってんだよ」

「両親に相談したのよ。弁護士にも間に入ってもらう可能性もあるわ」

 その言葉に教室中が静まり返る。

 明香は鞄を机の上に置いた。そして引き出しの中身を全て鞄の中に詰める。