「そういうの」
「でも、クラスの備品を勝手にとるのはまずいよね。あそこ、基本的に先生が管理しているんだよ」

「誰にも言わないでくれる?」
「言わない、言わない」

 軽い口調は信じるには難しいが、言い逃れをする方法が分からなかったのだ。
 クラスメイトがいる前で写真を確認した私が浅はかだったのだろう。
 私は、掲示板に張られていた写真を差し出した。

「これって古賀さんの家だよね」

 そういったのは馬場さんだ。

「そうなの?」
「そうだよ。昔、行ったことあるの」
「そうなんだ。ありがとう」

 私が写真を片づけようとするが、馬場さんが一足早くそれを掲げる。

「この女の人って、芽衣の家の写真に写っていたのと同じ人じゃない?」

 馬場さんの言葉に村田さんが目を輝かせ、あの写真を取り出したのだ。

「そうだ。似てる。でも、この黒いバッグは何? なんか刑事ドラマで身代金の受け渡しに使われそうなバッグに似ているね」
「慰謝料とか?」