家の前にはスーツケースを持った女性がうつっていたのだ。

 その女性を私は知っていたのだ。彼女は芽衣の家にお金を持ってきたという女性だ。

「この写真どうしたの?」

「永田さんの使っていたロッカーに入っていたの。誰かが入れ間違えたのかなと思って」

 彼女は膝の位置にある、芽衣のロッカーを指さしたのだ。

「これ、芽衣の家だよ。借家らしいけど」

 馬場さんが写真を覗き込み、そう口にする。

 だが、馬場さんの笑顔が固まる。

「このおばさん誰?」
「さあ? 芽衣のお母さん?」
「違うよ。芽衣のお母さんじゃない」
「この写真に何の意味があるんだろう」

 村田さんが辺りを見渡す。

「別の誰かのロッカーに紙が入っていたりして」

 そう悪戯っぽく微笑んだ。

「やっぱり古賀さんたちの誰かじゃない?」

 そういい、村田さんと馬場さんは明香たちのロッカーを確認していたが、めぼしい効果はあげられないようだった。