「はっきり言うね」

「それが俺だから」

 彼はそう肩をすくめる。だからこそ、明香たちに対してストレートな気持ちを出していたのかもしれない。

「私も岡部君と一緒だよ。ずっと見ているのが嫌だった。それが耐えられなくなったとき、動いた。それが彼女のなくなる前日だっただけだと思う。もっと早く動いていたら、芽衣は死なずにすんだのかもしれない」

 かばったから偉いわけではない。結局私も彼女を助け出すことができなかったのだ。

「でも、俺はその出発地点にも立てなかったから」

 そう岡部君は短く息をついた。

「私、明香たちのことは許せないと思う。だから、相手を簡単に被害者にしたらダメだと思うんだよね」

 要は明香たちに容易な逃げ道を与えたらいけないということだ。
 加害者でいたら、周りは冷たい視線を向けるだろう。

 だが、被害者になったら周囲から同情されるかもしれない。
 それは絶対に避けたかった。
 彼女たちには同情される要素など何もないのだ。

「お前って意外と怖いな」