「気持ちは分かるけど、どうしょうもないよ。警察に訴えたりする親もいるけど、芽衣の両親はそういうことを望んでいないんだろうね。それも一つの考え方だもん」

 彼は寂しそうに笑う。

「分かっているんだよ。永田が生きている時に庇えなかったら意味がないってさ。今でも永田がいじめられていたときの夢をよく見るんだ。なんで庇えなかったんだろう。止めなかったんだろうと後悔している」

 私は驚き、岡部君を見る。

「でも、あいつらは普通に生きていて、みているだけでむかつく。今からあいつらの日常を奪えるなら、奪ってやりたい

 私は慌てて周りを見る。だが、幸い人気はない。

「そんなこと聞かれたら大変だよ」

「まあな。でも、なんかむしゃくしゃする」

 岡部はそこで言葉を切る。

「正直、おまえもすごいなって思ったよ。勉強ばかりしていて、優等生でとつきにくいと思っていたけど、一人で永田を庇ってかなり印象変わった」