いつの間にか寝ていた私は重い瞼を開けた。
目を覚ますとそこには……、白い天井に蛍光灯が二本。昨日が夢じゃないことを知らせてくれた。
辺りを見回そうと腹筋に力を込めて起き上がろうとすると、思いの外弱い力で体は起きてきた。
時計は午前十時を示していた。

『おはようございます』
声の先へ目を向けると奥の小部屋から顔を覗かせた葵くんと目があった。
「おはよう…ございます」

葵くんはたぶん私より年下だと思う。でもいきなりため口をつかうのも馴れ馴れしい気がして私は間を置いて丁寧語を付け足した。
『敬語ではなくて大丈夫です、あなたの思ってる通り俺はあなたより二つ下ですから。』

またもや心の中を読まれた…私はそんなに分かりやすいだろうか…。

『…ええ、とっても』
 
………え。
なに今の。なんともタイミングよく発したなぁ、と思う。