付き合ってた頃は話すのなんて当たり前で

だから、こんなにも嬉しいことなんだなって知らなかった。



「でさ。さつきはなんで泣いてたわけ?」

「えっと……。」

……言ったらどう思うかな。

「へ……変な奴だって思ってくれていいからね!

こいつ意味わかんないとか思っちゃうと思うし!」

奏太は少しはにかんで

「わかったよ。なに?」

「……そ、奏太がずっと黙ってるから。

私なんかと話したくないんだろうなとか

私のこと嫌いになったんだろうなとか

そんなことばっか思ったら何か……

……悲しくなってきちゃって……。」

「…………。」



「や、やっぱり変だよね、こんなの。

忘れて。」




また変な雰囲気になっちゃった。

せっかく前みたいに話せたのに。

ぶち壊しちゃった。



目の奥がじわじわと熱くなっていくのがわかった。




ああもう。

また涙――――