風を切って走る。
その時間だけは誰にも譲れない。
今日も白線と白線の間を走っていた。
(あぁ、もう少しでゴールだ)
そしてゴールの線を越えた瞬間、
隣でピッとタイマーを止める音がする。
タイムを測っていた凜が、駆け寄ってきて言った。
「今日も絶好調だね。自己ベストタイだよ!」
「ほんとに⁉︎
あぁ〜、もう少しで記録更新だったのに…」
私は言った。けど凜は
「これ以上タイムを早くされたら誰も抜けなくなっちゃうんだから。
これでいいじゃない。」
と言う。
「まぁ確かに」と呟きながら
自分の幼少期を思い出していた。