ひろと別れて教室に一人で向かう足取りは重かった。
4階まで登るのがとても長く、しんどく感じた。
ふぅ、と息を吐いて教室に入った。
自分の席を確認して座ろうと思ったら、髪が少し茶色で長くのばしていて緊張した様子の可愛い女の子が座っていた。
私はもう一度席を確認したがやっぱりあっていた。
「ごめん、そこ私の席かも…」
おそるおそるその子に話しかけた。
その子はびっくりして立ち上がった
「ごめん!違った?!じゃあ私どこだろう」
焦った様子でその子は席を確認して、私の後ろの席に座った。
「ひとつ間違えてた!」
その子は少し照れながら言った。
「いや、全然大丈夫!」
少し言い方きつかったかな、と思った。
「ところでさ、名前教えて。」
「うちは、谷川結衣!ゆいってよんで!うち、同じ中学の人おらんから一人やったらどうしようかと思ったー!」
「うん。よろしく、ゆい。一人なんだ…。まあ、私は2人だけど男子だからなぁ。あんまり変わんないかもw」
「2人なら少し心強いやん!いいなー。」
高校入試の倍率が2.5倍のこの学校は一緒に受けても誰も受からなかったりする。
私も友達と受けたけど、友達は落ちてしまった。
(ひろがいてよかった…)
そう思ってる自分がいた。