私は、学校まで片道自転車で30ぷん、電車では1時間かかるそこそこの高校に合格した。
少し遠いため、同じ中学から行く人は大分少ない。
今年は私と幼なじみの裕明(ひろあき)しか受からなかった。
初めての通学で、私は裕明と初めて通る道を迷いながら学校に向かった。
いくら電動自転車とはいえども、きつすぎる坂道を2、3回登りおりしてようやくたどり着いた。
「まじで きっつ〜。こんなの3年間も登り下りしないといけないのかー。」
不機嫌そうに裕明が言った。
「仕方ないでしょ。自分がこの高校選んだんだから。」
幼稚園児の時から同じマンションに住んでいて、お互い少しドライな性格のため、会話は淡々としている。
(……なんだかんだで楽しむ癖に。)
私はクスッと笑った。