「いや、その、ええと・・・」


「ラブレターくれてたよね」




草壁君は鞄から私のラブレターを取り出して言う。





あっ! ラブレターの封が切ってある。



読んでくれたんだ。






「あの、あのたくさんの量のラブレター、みんな読んでるのですか?」


「ああ、読んでるよ。一生懸命書いてくれたものだからね」



私は自分の書いたメモのようなラブレターが急に恥ずかしくなってきた。



「ごめんなさい。変なラブレター書いちゃって」


「いいや、これはこれでいいと思うよ。ここへ至るまでの過程が想像できて」



ははは・・・その過程もろくなものじゃないんだけど・・・



織田信長が三角フラスコを持っている姿が頭に浮かぶ。






「一つ質問していいですか?」


「どうぞ」


「こんなにもてるのに、どうして誰とも付き合わないんですか?」


「中学の頃は彼女がいたんだ」




私は思わず身を乗り出して聞いた。





「ところが、その子がみんなにいじめられるようになって・・・。最後は不登校になってしまった」



草壁君の目が私を見る。


「僕のせいだよね・・・」


「そんなことないと思います」



私は自然と言葉を発していた。




「ありがとう。でも、二度と同じ過ちを犯さないように誰とも付き合わないようにしてるんだ」


「いじめる方が悪い。草壁君は悪くない」


「一人でもそう言ってくれる人がいると嬉しいよ」


「私、草壁君と付き合えるのならいじめられたっていい!」






自分が告白していることに気付くのに数秒かかった。