「いい? 草壁君はたくさんの女の子から告白されて、女は一途なものって思っているんだよ」


「そうかなあ」


「そんな時、強引に告白されたらきっとYESと言うに違いない」



沙耶ちゃんのあまりの迫力に私たちは思わず頷いてしまった。




それと同時に店員が水を注ぎにやって来る。




「でも、どうやってやるの?」


「まず、あたしと野乃葉が草壁君を空き教室へ呼び出す。そして隠れている柚衣が出てきて壁ドンってわけ」


「そんなにうまくいくのかなあ」


「大丈夫だよ~」


「じゃあ、まず練習だね」


「練習ってどうするの?」


「中園君に練習台になってもらえば~??」


「え?・・・い、嫌だよ。琉生にそんなことするなんて」


「でも~、一番仲のいい男の子でしょ~??」


「確かに柚衣って中園君の前では人格変わるよね」


「それは琉生が変なことばかり言うからだよ!」



私は顔を赤くして怒鳴る。


「本当は中園君のこと好きなんじゃないの?」


「す、好きなわけないでしょ!!!」



私の声が店中に広がる。






店員が水を持ってくるのが見えたので、私たちは店を出ることにした。