周りの客がひそひそ話を始める。




「あんな可愛い子を騙してたんだって」


「別れ話よ。きっと浮気がばれたのね」



妙な雰囲気が店内に流れていく。






「わ、わかったから!」


「じゃあ〜、デートしてくれる〜?」


「するから」


「じゃあ、約束よと言って手を握る〜」


「何でナレーションが入るんだ?」


「余計な台詞まで〜、言わなくていいの〜」


「は?」


「・・・もう、琉生のバカ〜」


「わかったって。じゃあ俺帰るから」




琉生はそう言うと逃げるように店から出て行った。