「お前が夕日先輩を好きだって言うんなら、俺は弟として応援してやるよ」

 そう言った勇輝の顔はなんだか悲しそうだった。

 「え?いやいやいやいや、それはないよ。あんな素敵な人を好きになるなんてめっそうもございません!高嶺の花?すぎますから!」

 あたしは勇輝に対してなんでこんな言葉遣いなんだ?

 「これから1ヶ月間毎日夕日先輩に会うことになる。その可能性だって考えられるだろうが」

 「確かにそうだけど・・・」

 今まで恋愛のれの字もなかったあたしにそんなことあるのかが疑い深い。

 あたしがぐだぐだ悩んでいると勇輝は呆れ顔をした。

 「まだお前にはわかんねぇか」

 失礼な!確かにそうでけどね!

 「勇輝こそ!綾乃に聞いたよ!」

 「なにを?」

 「あんたモテるらしいじゃん!」

 あたしは勇輝を指差し仁王立ちをした。

 「あいつ・・・」

 「あんたこそモテるくせにそういう浮いた話聞いたことないけどどうなのよ!どうせ好きな子の1人や2人くらいはいるんでしょ!」

 あたしの言葉に勇輝は目を丸くした。

 「・・・さすがに2人はいないけど1人はいる」

 これは思ってもみなかった反応だ。どうせ勇輝のことだからお前には関係ないだろとか言うと思ってたのに。

 「いるの!?誰!?あたしの知ってる人!?」

 綾乃のことかな!?

 「さすがに名前までは言わねぇよ」

 ですよねー。それなら!

 「勇輝!お姉ちゃんが恋愛相談にのってあげるよ!」

 恋愛経験0ですけどね・・・。まぁ、絶対断られると思うけど、一か八かですよ。

 「じゃぁ、よろしく」

 「え?」