昇降口までの間、あたしは夕日先輩のことを考えていた。

 夕日先輩の一人称が俺ってなんか違和感あるな。爽やかな感じの人だから僕って感じのイメージだったな最初は。

 といったことを考えていたらあっという間に昇降口に着いた。

 「凛」

 名前を呼ばれた方を見ると勇輝が立っていた。

 なんか前にもあったなこんなこと。

 「また待っててくれたんだありがと」

 あたしの言葉に対し勇輝は低く冷たい声で言った。

 「夕日先輩となんの話してた?」

 その低く冷たい声にあたしは少しびくっとした。

 「連絡先交換しただけだよ・・・?」

 そういった瞬間勇輝は、

 「気をつけろって言ったよな」

 さらに低い声で言った。

 怒ってる・・・。

 「ごめん」

 その時は舞い上がっていて、完全に忘れていましたすいません。

 「はぁ・・・お前はほんと前から心配ばっかさせやがって」

 そう言った声はさっきまでの声ではなくいつもの呆れ声だった。

 そうですよね・・・あたし馬鹿だから心配ですよね。

 「馬鹿な姉ですみません・・・」

 「・・・・・・ああ、そうだなもう少ししっかりしろよ。それでも一応俺の姉ちゃんなんだから弟に心配させんな」

 勇輝があたしを姉と呼んだことにあたしは驚きを隠せなかった。

 「なに?」

 「いや、勇輝があたしを姉ちゃんって呼ぶなんて珍しいというか初めてというか」

 「あー・・・・まぁ、そうかもしれないな」

 あたし勇輝に一生馬鹿な奴扱いされると思っていたから素直に嬉しいよお姉ちゃんは!!

 「もし、お前が夕日先輩を好きだって言うんなら・・・」

 そこまで言うと勇輝は口を紡いだ。

 「ん?」