その後、リビングのテレビ台に置いてある小さな灰皿を見つけた。私の知らないガラスの灰皿。

その後、はっとする。
灰皿には、口紅のついた吸い殻が一本。


灰皿の下に、
小さなメモ用紙が挟んでた。



私はそっとそれを手に取り、
唇を噛みしめた。




『ハルくん、煙草一本もらってくね。ありがとう。』




私が見つけた…

ハルの現実。



口紅の鮮明な赤色が、私の心に突き刺さる。
それから私は、直ぐ様部屋を飛びだした。



ハルの顔が…思い出せない。


ハルの後ろ姿しか、頭に浮かべられなくって…



震えながら、部屋の下の公園のベンチに腰かけた。
腰が抜けたように立ち上がれなくて
 

そこからハルの6階の部屋の…
寝室の窓を…見上げてた。