涙がこぼれる私の瞳に 映ったハルの強い冷たい視線。




「もういい。出ていけよ」


ハルはそう言って、手を伸ばしてしがみつこうとする私を振り払った。




「なんで?…ハル。嫌だよ!」


ベッドに倒れこむ私に、もう一度冷たい声が飛び込む。




「出ていってくれよ。もう、くんな」



ハル

…嘘…だよね… 嘘って言ってよ。


三年半、温めてきた大事な恋が

終わる瞬間だった。






沈黙。


そうしているうちに、聞こえるインターホンの音。




ハルと私を、決別させる音。




私の心は不安で一杯になった。




もう本当に本当に… だめなの…?



ハル。


















私はベッドに倒れこんだまま、ハルを見上げた。
ハルは、私から目をそらしたまま何も口にしない。



そうして、私は現実を認めたくなかったけど


「…別れるの…?」

って聞いたら






「あぁ」

って言ったんだ。ハルが。





絶対に聞きたくなかった。ハルの言葉。

認めたくなかった。ハルとの別れ。


嘘って言ってよ。



ハルは、今まで見たことのない憎しみに満ちたような
こわい表情をしてる。


こわかった。



私はゆっくり立ち上がり、それから玄関に向かう。



こんな悲しい日がくるなんて、出会った頃は想像もしなかった。






それから私は、部屋の扉を開けて一目散に走った。


下へ降りるエレベーターさえ待つ余裕もなく、私は6階の部屋から階段をかけ降りた。
 


マンションの入り口に停めていた、私のバイク。

バイクを横目に走り抜けた。


あの子、誰?!

本当にいたんだ。
いつから?


わかんない。なんで…?


ハルは心変わりしてた。
私の想像だけで、あってほしかったのに。





でも、私の想像は


現実だったんだ。




ハルに好きな人が出来たんだ。
もう私の事は好きでなくなったんだ。


信じたくないよ…