バステトと私は家のベランダに回った。
これも幽霊の力なのか、入ってないのに、頭の中に家の中が浮かんでくる。
この日は私が死んでしまう5日前の日曜日。昼過ぎ起きてきた私と買い物から帰ってきたお母さんがリビングで話してた。
隣ではお父さんが横になってテレビをみてる。
お腹が空いたと言った私にナポリタンを作ってくれた。

《お母さんのナポリタンが世界一だと思ってたなぁ》

匂いにつられて、お父さんが来て私のナポリタンを横取りしようとしたから言い合いして、急いでお母さんが追加して作った。
本当に私は幸せだった。
死ぬ前になんでこの光景を思い出せなかったんだろうと、後悔する。

「幸せそうな光景ですね。」
「うん…。」

その後みんなでテレビ見ながら笑い合い夕方になるとお母さんは台所で晩御飯の準備をしだして。
私は頼まれた手伝いを文句を言いながら手伝った。
晩御飯が終わると私はお風呂へ行った。
食卓ではお父さんとお母さんが何かを話してる。

「なに言ってるんだろう…」
「ご両親の口元に集中してください。」
バステトが言う通りにすると、かすかに聞こえてきた。
もっと集中すると、さっきよりはっきりと聞こえてきた。

「佳代…本当なのか?」
《お父さんって二人のときはお母さんの事名前で呼んでたんだ。結構ラブラブじゃん!》
「うん…まだ。でも私の勘違いかもしれないし。」
「でも思い当たるとこがあるんだろ?」
「まぁね…明日休み取って病院に行ってくるわ」
「あぁわかったら、俺の方は気にしなくていいから、電話してこいよ!」
「わかってる。あっ汐梨が上がってきたかも」
そう言うと、お母さんは洗い物をしだし、お父さんはテレビをつけた。

《なに?今の会話…私に聞かれたらヤバイみたいな…。まさか、お母さん病気だったとか?》
「では、次の日に行ってみますか?」
バステトに聞かれ、即答でお願いと言った。