着いたところは、団地内にある集会所。
この団地のお葬式はいつもここ。
まだ始まる前みたいで、まばらにしか人はいない。
正面から入ると、目の前には祭壇があって、その右隣にはお父さんとお母さんがいた。
お母さんの顔色が悪い。私のせいだけど、心配でたまんない。
ふいにお母さんがこっちを見て立ち上がりこっちに向かってきた。
『えっ見えてる?』
「美月ちゃん来てくれたのね…」
『えっ美月?』
振り返ると美月が立っていた。
一人で来たみたいだった。
「おばさま…私、昨日のお通夜これなくて、ごめんなさい。」
「なに言ってるの?今来てくれたじゃない。」
そう言ってお母さんは美月に微笑みかけた。
「お葬式の前におじさまとおばさまにお話したいことがあって、今日は来たんです。」
『美月…?』
「じゃ奥での方がいいかな?」
「はい。お願いします。」
お父さんもお母さんもハテナ顔で美月と奥の部屋に行った。
「話したいことってなんだい?」
「汐梨が死んだ次の日のお通夜の日、私怖くてこれなかった。その夜汐梨を夢を見たんです。」
「夢?」
「はい。私が汐梨に謝って汐梨はいいよって言ってくれました。でも、それじゃ駄目だと思って…」
「ちょっと待って!美月ちゃんの言ってることが、おじさん理解できてないんだ。美月ちゃんは汐梨に謝ってって謝るようなことをしたのかい?」
「はい…私のせいで汐梨は死んだんです。」
「何を言ってるんだ?!」
お父さんが声を荒げた。
美月が体をこわばらせる。
「春樹さん!待って…そんな言い方したら、美月が怖がって言えなくなるから。美月ちゃんちゃんと聞かせて…」
「…はい。汐梨とは入試の時から仲良くなって三年間ずっと一緒でした。」
「そうね。」
「汐梨は知らないけど、私…舞子にイジメられてました。」
『はぁイジメられてたのは私だし!なに、どーゆーこと?まだ知らないことがあるの?』
「舞子って汐梨を幼馴染みの舞子ちゃん?」
「はい。最初は汐梨を取られたと言われイジメが始まりました。そのうち舞子は怒りの矛先を私から汐梨本人に変えたんです。それからは私に汐梨をイジメるように命令してきました。」
「そんな…」
お母さんが泣き出した。美月も泣くのを我慢してる。目には涙がたまってきてた。
「私はイジメ側になることで、自分を守りました。次第にイジメられてた頃に戻りたくなくて、私自身がリーダー格になって汐梨をイジメてました。私が言うように命令したんです。」
「何を言ったの?あの子に!!」
美月は握る手に力を入れた。
「あんたなんて、この世に必要ない人間だから死んじゃえば?!って…」
瞬間お母さんが美月の頬を引っ叩いた。
美月が堪えてた涙が流れた。
「ごめんなさい。」
「謝られても汐梨は帰ってこない!」
お母さんは声を張り上げた。
瞬間立ち眩みを起こし椅子に崩れるように座った。
「おばさまっ!」
「美月ちゃん、今日はもう帰ってくれないか?」
お父さんが言ったのをお母さんが止めた。
「春樹さん待って…私は大丈夫だから…。美月ちゃん…」
「は…い。」
美月はもうぐちゃぐちゃに泣いている。
「叩いちゃってごめんね…」
そっと、美月の頬を撫でる。
美月は声を上げ泣き出した。
「告白してくれて、ありがとう。でも言わなければ私たち知らないままでいれた。こんな辛い思いしなくて済んだのに…でもね、隠したままで生きて行くのは美月ちゃんがしんどいわね…なら、言ってくれて、よかったにかな。」
「おばさま…。」
「美月ちゃんがした事はいけない事だった。きっかけは美月ちゃんが言わせた言葉かもしれない、でも、最後に死ぬ事を選んだのは汐梨なの。だから、美月ちゃんのせいじゃないと、おばさんは思ってる。」
美月はもう返事が出来ないの。
「だからもう自分を責めるのはやめなさい。夢の中で汐梨も許したんでしょ?なら、もういいから。」
そう言ってお母さんは美月を抱きしめた。
お父さんもお母さんと同じ顔で美月の頭を撫でた。
二人とも優しい顔をしてる…あの顔が好きだったんだ。
「あり…が…とう…ござい…ます。」
泣き止んで落ち着いた美月は
「最後までいていいですか?」と、聞いて
「もちろん。見送ってあげて。」と、言われて頭を下げ会場に戻って行った。
この団地のお葬式はいつもここ。
まだ始まる前みたいで、まばらにしか人はいない。
正面から入ると、目の前には祭壇があって、その右隣にはお父さんとお母さんがいた。
お母さんの顔色が悪い。私のせいだけど、心配でたまんない。
ふいにお母さんがこっちを見て立ち上がりこっちに向かってきた。
『えっ見えてる?』
「美月ちゃん来てくれたのね…」
『えっ美月?』
振り返ると美月が立っていた。
一人で来たみたいだった。
「おばさま…私、昨日のお通夜これなくて、ごめんなさい。」
「なに言ってるの?今来てくれたじゃない。」
そう言ってお母さんは美月に微笑みかけた。
「お葬式の前におじさまとおばさまにお話したいことがあって、今日は来たんです。」
『美月…?』
「じゃ奥での方がいいかな?」
「はい。お願いします。」
お父さんもお母さんもハテナ顔で美月と奥の部屋に行った。
「話したいことってなんだい?」
「汐梨が死んだ次の日のお通夜の日、私怖くてこれなかった。その夜汐梨を夢を見たんです。」
「夢?」
「はい。私が汐梨に謝って汐梨はいいよって言ってくれました。でも、それじゃ駄目だと思って…」
「ちょっと待って!美月ちゃんの言ってることが、おじさん理解できてないんだ。美月ちゃんは汐梨に謝ってって謝るようなことをしたのかい?」
「はい…私のせいで汐梨は死んだんです。」
「何を言ってるんだ?!」
お父さんが声を荒げた。
美月が体をこわばらせる。
「春樹さん!待って…そんな言い方したら、美月が怖がって言えなくなるから。美月ちゃんちゃんと聞かせて…」
「…はい。汐梨とは入試の時から仲良くなって三年間ずっと一緒でした。」
「そうね。」
「汐梨は知らないけど、私…舞子にイジメられてました。」
『はぁイジメられてたのは私だし!なに、どーゆーこと?まだ知らないことがあるの?』
「舞子って汐梨を幼馴染みの舞子ちゃん?」
「はい。最初は汐梨を取られたと言われイジメが始まりました。そのうち舞子は怒りの矛先を私から汐梨本人に変えたんです。それからは私に汐梨をイジメるように命令してきました。」
「そんな…」
お母さんが泣き出した。美月も泣くのを我慢してる。目には涙がたまってきてた。
「私はイジメ側になることで、自分を守りました。次第にイジメられてた頃に戻りたくなくて、私自身がリーダー格になって汐梨をイジメてました。私が言うように命令したんです。」
「何を言ったの?あの子に!!」
美月は握る手に力を入れた。
「あんたなんて、この世に必要ない人間だから死んじゃえば?!って…」
瞬間お母さんが美月の頬を引っ叩いた。
美月が堪えてた涙が流れた。
「ごめんなさい。」
「謝られても汐梨は帰ってこない!」
お母さんは声を張り上げた。
瞬間立ち眩みを起こし椅子に崩れるように座った。
「おばさまっ!」
「美月ちゃん、今日はもう帰ってくれないか?」
お父さんが言ったのをお母さんが止めた。
「春樹さん待って…私は大丈夫だから…。美月ちゃん…」
「は…い。」
美月はもうぐちゃぐちゃに泣いている。
「叩いちゃってごめんね…」
そっと、美月の頬を撫でる。
美月は声を上げ泣き出した。
「告白してくれて、ありがとう。でも言わなければ私たち知らないままでいれた。こんな辛い思いしなくて済んだのに…でもね、隠したままで生きて行くのは美月ちゃんがしんどいわね…なら、言ってくれて、よかったにかな。」
「おばさま…。」
「美月ちゃんがした事はいけない事だった。きっかけは美月ちゃんが言わせた言葉かもしれない、でも、最後に死ぬ事を選んだのは汐梨なの。だから、美月ちゃんのせいじゃないと、おばさんは思ってる。」
美月はもう返事が出来ないの。
「だからもう自分を責めるのはやめなさい。夢の中で汐梨も許したんでしょ?なら、もういいから。」
そう言ってお母さんは美月を抱きしめた。
お父さんもお母さんと同じ顔で美月の頭を撫でた。
二人とも優しい顔をしてる…あの顔が好きだったんだ。
「あり…が…とう…ござい…ます。」
泣き止んで落ち着いた美月は
「最後までいていいですか?」と、聞いて
「もちろん。見送ってあげて。」と、言われて頭を下げ会場に戻って行った。