入学式

地元から離れたせいか知ってる人が一人もいない

『まぁ当たり前か…』

自分はどのクラスなのかって見に行くまでに周りからの視線が痛かった

見られてるなぁ………

痛いぐらいの視線を受けつつ、下駄箱に靴を入れて自分のクラスに向かった

惜しくも夕凪君とは別クラスになってしまったが、家が隣同士だし関係ない

周りから注目されながら後ろから呼ばれた

夕凪君だった

『龍妃さ~ん』

『わ~~~~下の名前で呼ばないで~』

龍の妃と書いて『りゅうび』と読むんだけど、もっと女の子らしい名前をつけて欲しかったと今でも悔やんでいる

まぁつけてもらった物は仕方ないので今まで生きてきたけど、いざ呼ばれると恥ずかしい

口を抑えられモゴモゴしている夕凪君を解放する

『く、苦しいですよ~』

『ゴメンゴメン、あんまりここで名前で呼んで欲しく無かったから…』

『そうだったんですか、ごめんなさい』

ぺこりとお辞儀して謝る夕凪君を見て逆に申し訳ない気持ちになる

『い、良いんだよ、気にしないで。クラス別だったね』

話題を変えようと思いも話かける

『そうですね、寂しいです』

『でも家真横だしね、朝とか一緒に行けば大丈夫じゃないかなって………』

自分で言って顔が熱くなり下を向く

覗き込むように夕凪君が見てきた

『大丈夫ですか?顔赤いですよ?』

『だだだ大丈夫!問題ないよ!』

慌てて顔をあげて笑う

自分でも思う、夕凪君に惚れている

『じゃあまた後で』

夕凪君がニコっと笑いクラスに入っていった

私も自分のクラスに入り黒板に書かれている席に座った

はぁ…

朝からため息しか出ない

外を見ながら色んな事を考える

『友達…出来るかな………』

はぁ…っと本日何度目かのため息ついて頬杖をついた