『桜田朱里です! 好きです。付き合って下さい!!』
僕が中学2年生のときのことだ。
自分の靴箱に向かっている途中に
声をかけられそう言われた。
『ごめん。僕、君のこと知らないし…。』
僕は気持ちだけありがとう
といって彼女を振った。
僕は友達と一緒にいたからそのあといろいろと冷やかされた。
『なぁ、さっきの
1年の朱里ちゃんだよな。』
『やっぱ、かわいいよなー。』
『なあ、祐太
お前なにしたんだよ。
おしえろよー。朱里ちゃん、どーやっておとしたんだよ。』
『てか、なんで振った。
あんな可愛いのに。祐太くん、さいてーーー。』
冷やかしだけじゃなかったけど
僕も心当たりがないことだったから
なぜ告白されたのかわからなかった。
だから、彼女の名前をなんとなく覚えていたのかもしれない。
顔だって褒められたことなんてほとんどないし、
運動だって、中学もサッカーやってたけど
人よりすごいと言われるほどではなかった。
極普通の中学生のはずだった。