「なんだよ。今日調子悪かったじゃん。」
そーいって僕の肩に手を置いたのは部長の原田先輩だった。
「ちょっと、いろいろあって……。」
「なんだよ。悩み相談ならいくらでものるぞ。」
原田先輩は先輩のなかでは一番優しくて
サッカーは誰よりも上手くて、僕の憧れの先輩だ。
「ありがとうございます。」
僕が着替え終わると
原田先輩もちょうど部室をでるころで
同じタイミングで部室をあとにした。
すると、出てすぐのところに
成川先輩の姿があった。
成川先輩は僕が出てきた部室のほうをじっと見ていた。
僕は成川先輩を見つめてただボーっとしてしまった。
先輩の見ている方向に僕がいる。
ただそれだけで僕はドキドキした。