「桜田、僕
君に何かした?
僕、君にそこまで想ってくれるようなことしたかな?」
「私は、先輩に一目惚れしたんです。
先輩と廊下でぶつかった瞬間に。」
「え?廊下でぶつかった?
え、それで…なんで、好きになるの…………?」
「先輩が初めてだったんです。
ぶつかったあと私のこと2度見せずに
ただ謝ってくれたのは。
私、年上の人が苦手だったんです。
学校の先輩は私が困っているとき助けてはくれたけど
メアド教えてとか、変なこと言ってきて
私が断ったらちょっと不機嫌な顔をする。
私はそれがすごく怖かった。
学校の先生も、私に優しくしてくれたけど
かわりに女子生徒からいじめを受けた。
先生に助けを求めてもみんなからまた媚売ってるって言われて
男の先生には言えなかった。
だから
保健室の先生に相談しました。
だけど先生には、あなたがそんなんだからいけないのよ。
ってひどいこと言われました。
私は学校に行けなくなったんです。学校が怖かった。 」
僕は黙って彼女の話を聞いた。
彼女のかわいそうな中学時代を。
何も言えなくなるほど僕は彼女をかわいそうと思った。