それから、右隣の冷泉くんをちょっと見る。



「れ、冷泉くんっ」



ぽっちゃりん先生に聞こえないように、小さな声で呼んだ。



「教科書、忘れちゃったみたいなんだよね」



「…………」



「悪いんだけど……。
見せてくれない?」



「…………」



相変わらずスルーの冷泉くん。



ちぇっ。



こんなときまで無視しなくても。