今日あたし達が来た所は、桐谷って人と弘毅が再開したあの海…
「何でここに来たかった?」
弘毅があたしに聞く。
「ん〜?何となく?」
弘毅とまったりしたデートがしたかったから…
「なんだそりゃ」
そう言って上を向いてねっころがる弘毅。
あたしも真似っこする。
「ここでいろいろあったよな…」
桐谷って人の事?
「ん〜あったね…」
ここで弘毅が汗ダラダラになってるのに、顔真っ赤にしてあたしを探しに来てくれたっけ…
だからここはあたしの中では大切な場所になったよ…
「弘毅は今幸せ?」
あたしはね、あたしにもったいないと思うぐらいに幸せだよ…
「幸せに決まってんじゃん。お前はアホか。いや、ドアホだな。」
「も〜」
と言って弘毅の腕を軽く、グーで殴った。
ねぇ…幸せがそう長くは続かないんだね…
幸せがあるだけ悲しみもあるんだね…
あたし達はこの時はまだ…何も知らなかった…
「寒いね…」
「うん…。どっか行くか…」
あたし達は立ち上げり、この大切なこの場所を後にした。
「ただいま−」
家に帰り、いつもどうりお風呂に入って寝る…
はずだった…
ん…
電話…
「もしもし弘毅?」
「優が…優が…
死にそう…」
え…
「落ち着いて…優君がどうしたの?」
「優が…桐谷にやられた…今やばいって…。」
優君?
なんで優君が…?
あたしは弘毅に教えて貰った病院へ、スェットのまま走りだしていた。
着いたら…手術室の前の椅子にみんな座っていた。
「弘毅…優君は?」
「まだ…」
目が真っ赤…
優君…
こんなに心配してる仲間がいるんだよ…
また元気に戻ってきて…
ウィーン__
手術室のドアが開いた。
先生らしき人が出てくる。
「優は…優は…」
「全力は尽くしました。でも…
今夜がやまだと思ってください…」
それだけ言って、先生は行ってしまった。
今夜が…やま…?
ありえないよ…
優君が…
みんなは優君の所へ走って行った。
「優!!優!!起きろよ…目覚ませよ…お前…笑顔見せろよ…おい…優!!」
俺らの中でもいっつも優といた健二…
「健二…落ち着け…」
「は?こんな時に落ち着けるか!!元はというと桐谷は弘毅だけが憎いんだよな!!弘毅のせいじゃんか!!」
俺は言い返す言葉が無かった…
健二の言ってる事は…全部あってるから…
「健二…」
海斗が健二を止める…
「いいよ海斗…俺のせいだし…」
そう…
俺が全て悪い…
優は悪くないんだ…
「でもまだ優君は死んでないんだよ!!頑張ってるんだよ!!そんな話し…今は辞めよ…?」
梓がそう言った。
「そうだな…今はこの話しなし。分かったな、健二。」
俺達はそれぞれに散らばった。
俺は屋上のベンチに座った。
「優…ごめんな…」
今はただそれだけしか言えない…
涙が次々と出てくる…
「頑張れ…優…」
桐谷はまだ、捕まってねーらしい…
桐谷…
絶対ゆるさねー…
親友ってなんだ…?
親友って…
傷つけるために親友ってあるのか?
優は俺を許してくれねーだろう…
俺は生きてる価値がねーよな…
大切な親友を傷つけて、平気で生きてるんだ…
俺の回りにいる奴は…
どんどんいなくなる…
大切な人が…
俺が生きてから…
いろんな人に迷惑をかける…
海斗や…葵や…健二や…優…絵梨や…
梓まで…
ごめんよ…
みんな…
あたしは弘毅がいる屋上に向かった。
「ひろ…き…」
すっごい怖い顔してる…
「梓…」
弱々しい声を出す弘毅…
「弘毅…」
「梓、俺…」
弘毅が何考えてるか分からない…
「どうしたの?」
「ん…なんでもない…」
無理に顔を緩める弘毅…
「弘毅…」
「優まだ目覚まさねー?」
「まだだよ…」
「はぁ〜…」
大きくため息をする弘毅…
「ため息だすと、幸せ減るんだよ…」
「もう減ってるよ…」
「…そうだね…」
「梓…健二はどうしてた?」
「健二はずっと優君の所にいるよ…」
弘毅…
あたしは「大丈夫だよ」って言って抱きしめたかったよ…
「弘毅、梓…優が目覚まさたぞ!!」
海斗が呼びにくる…
「優君が…」
弘毅は止まったままだった。
「弘毅…優君の所行こう!!」
「合わせる顔がねー…」
下を向く弘毅…
「弘毅?優君は頑張ったんだよ…頑張ってまた目を覚ましたんだよ?優君はまだ弘毅達といたかったんだよ!!優君が弘毅を憎むとか思う?何年親友やってんのよ!!」
怒鳴ってしまった…
弘毅は立ち上がり、走って優君の所へ行った。
梓が俺に怒鳴って、俺は 優の所へ走って行った。
梓の言葉が俺に効いたよ…
「優!!」
勢いよくドアを開けた。
「ヒロ君…」
「優…ごめんな…俺のせいだよな…」
「違うよ…俺が…弱かったから…だよ…」
優…お前は…
「強いよ…」
ちゃんと生きてる…
「ありがと…ヒロ君…」
「弘毅…さっきはすまん…」
健二が俺に謝る…
何でみんなそんなに優しい…
俺は堪えていた涙が一気に溢れ出た。
「ありがと…ありがとな…」
それだけしか言えなかった…