淡々と話していた彼だったけど、無意識に流れていた私の涙を見て、


「彩奈の事…本当に愛してた。…もっと早くに…出会いたかった。」


彼も涙を流し言葉がつまりながらも、ギュッと抱きしめてくれた。


私は堰を切ったように涙があとからあとから流れ出し声をあげて泣いた。


奥さんがいるなら、私と付き合わないでよ。


子供が産まれたなら、しっかりした父親になりなさいよ。


言いたい事は沢山あったし、嘘をつかれてた事に腹が立つけど。


それでも私は康弘くんを嫌いになれない。


彼の最後の言葉だけは信じてあげよう。


私は彼の胸を押し腕の中から解放されると、


『別れてあげる。』


その一言を告げた。


誰にも言わなかった私の秘密の恋が幕を閉じた―――



[END]