そこにはあの子が立っていた――


次の瞬間、幸成は1歩足を進めた。


『行かないで!』


口をついて出た私の言葉に、幸成の2歩目を出す足が戸惑う。


『お願い、行かないで。…ずっと、…ずっと幸成の事が好きなの。だから行かないで。』


涙なんか流すつもりはなかったのに。


泣いて懇願する私に、幸成は、


「…ごめん。」


と一言。


そのまま彼女の元に歩いて行き、2人で家の中に消えてしまった。