「やってみましょう」


「で、できるかな…」


私は一度やってみる。

頭が浮いて脚が下がってしまうけれど、
鈴屋君に引っ張られながらなんとか泳ぎきることができた。


「結構上手いですね。もうクロールやりましょうか」


鈴屋君の言葉に驚く。


「く、クロール!?無理無理!」


クロールといえば、授業でもとりあげられる程の至難の業(私視点)である。


「意外とクロールって簡単ですから、すぐできると思います」


私は鈴屋君を信じてクロールの練習を始めた。

最初は手と脚がよく分からなくなったけれど、1時間も練習をすれば泳げると言えるようなものになっていた。


「やっぱり、先輩運動神経いいですね」


25mを泳ぎきると後ろからゆっくり追いかけてくれた鈴屋君に声をかけられる。


「鈴屋君が優しく教えてくれるから」


そう言うと、鈴屋君は少し顔を赤めらせた。


「別に…普通っす」


目を逸らされてしまう。


「そろそろ休憩にしましょうか」


私達は昼食を摂るためにプールを上がった。