私達は25mプールに来た。


25mプールには人があまりおらず、
ここの市民プール自体あまり活気がなかった。

なんでも、近くに都営の大きなプールができたらしく、そこに人が流れているらしい。


「先輩、入れますか?」


鈴屋君が先にプールに入り手を差し出してくれる。


「あ、ありがと」


私は鈴屋君に支えられながら初めてのプールに入る。

思っていたよりも深くて、私は大勢を崩してしまう。

後ろにひっくり返りそうになった私の腰を鈴屋君がグイッと引き寄せてくれた。


「大丈夫っすか?」


あまりにも近い鈴屋君との距離にドキドキしてしまう。


「う、うん」


私は大勢を立て直すと、
鈴屋君に向き直った。

鈴屋君は小さく笑うと、
早速泳ぎを教えてくれる。


「えっと…まず、水に潜ることはできますか?」


「うん、それくらいなら」


私は水に潜ってみせた。


「オーケーです。じゃあ、蹴伸びしてみましょうか。手ぇ引っ張るから、そのまま息がキツくなるまで伸びてて下さい」


まずは鈴屋君が手本を見せてくれる。

綺麗な形のまま、どこまでも行ってしまいそうな勢いで進んでいく。

途中で立つと、振り返った。