最寄りのバス停からで出ている市民プール行きのバスに揺られ15分、

鈴屋君と別れて更衣室に入ること10分。


私は有紀と愛香に選んでもらった水着に着替える。

水着は、白を基調とした三段フリルのスカート型ビキニで、
胸の中央にリボンがあしらわれている。


初めての水着がビキニというのは少し恥ずかしいけれど、


2人によると高校生はみんなビキニらしく、
この水着をゴリ押しされた。

私はセミロングの髪をポニーテールに束ねると更衣室を出てプールに向かう。

鈴屋君とは、更衣室を出た所で待ち合わせと言ってあるけど……。


そこには既に待ち合わせ相手を待っているであろう人達が数名いた。

私は鈴屋君を探す。

しばらくキョロキョロしていると、
鈴屋君によく似た男の子が壁に寄りかかって立っていた。

部活で鍛えられたであろう素晴らしい筋肉がすごくかっこいい。


「鈴屋君!」


声をかけると鈴屋君が顔を上げる。


「せんぱ──────」


鈴屋君は壁からそう言って立ち上がったまま固まった。

私を見つめたまま動かない。

あっ、あれ…なにか変かな…?

「あ…あの…鈴屋君…?」

私が声をかけると、鈴屋君はハッとして目を逸らした。


「い、いや、なんでもないっす。行きましょう」


鈴屋君はそのまま歩いていってしまう。
私、変かな…?

私は鈴屋君の後を小走りで追った。