真剣な表情で身を乗り出してくる、花。

「いや、いいよ。2回も行く必要ないじゃん」

「ううん、一緒に行く! あ……あたし、引いたおみくじが末吉だったの。明日は大吉が引けるかもしれないし!」

「いいって」

「行くったら行く!!」

遠慮する俺に、花は激しく首を横に振る。

出来れば、この話題はもう終わらせたかった。

だって、なんか……断れば断るほど、俺が拗ねているように見えてしまうから。

けれど、必死に「行く」と告げてくるのが嬉しかったから、俺は断るのをやめて、その優しさに甘えることにした。

「じゃあ、明日は寝坊すんなよ」

彼女の頭に手を置いて、お団子になった髪の毛をキュッと掴む。

「ありがとう」と喜ぶ彼女に、俺は「礼を言うのは逆だろ」とつっこんだ。