正月を意識してか、今晩のおかずは煮物やてんぷらなど、手がこんでいるものだった。
別にそこまでしなくてもいいし、ゆっくりしとけばいいのにと思ったけれど、食べてもらえるのが嬉しいみたいだから、俺は何も言わず、静かに食べていた。
母親の料理を出すと、花は懐かしいのか、何度も「おいしい」とつぶやく。
豪勢な食卓に常盤も喜んでいるようだった。
「あ、そうだ。明日は3人で初詣に行こう」
先に食べ終わって煙草を吸っているとき、言おうとしていたことを思い出した。
実家に帰ったとき、俺が来ることを意識していた親たちは、初詣の日にちを明日に回していた。
当然のように俺もまだ行っていないわけで、そのことを聞いたとき、せっかく一緒に暮らしているのだから、今年は3人で行こうかなと考えていたんだ。